第2回HALSグループミーティングを終えて
編集後記 01
 

 2011年は日本にとって本当に辛く大変な年となってしまいました。今は皆が力を合わせ、少しでも前を向き、未来に向かって頑張って行きましょう。そんな中、私的には本当に小さな事ながらも大きな励みになることが2011年12月末に2つ程ありました。

その1:
 当院に、他院から麻酔科の先生が見学におみえになっていたのですが、私は例によりHALS手術の最中で全く気にしておりませんでした。そんな時、当院麻酔科の先生の、「うちの外科の腹腔鏡の手術は、HALSといって完全鏡視下のLaparo.ではなくて開腹手術とLaparo.との中間に位置していて…、つまりいいとこ取りの手術なんですよ。」との何気ない説明が私の小耳に入ってきたではありませんか!何故か本当に嬉しくなって、思わず麻酔科の女医さんの顔をしげしげと、目を逸らされるまで見続けてしまいました。他院の先生にそんなに胸を張って褒めてくれるなんて…。麻酔科の先生、こないだはカッとして酷いことを言って御免なさい。そして本当に有難う。実は日本ではHALSは超マイナーで、時々半信半疑に成り自問自答する自分の心の奥底にメラメラと燃え上がる火を付けてくれたのでした。そして、思わず心の中で自分が信じる得意な手術はHALS なのだぁ〜!と叫んでしまいました。

その2:
 私の直属の上司で、研修医の頃から大変お世話になっている幕内博康教授(現東海大学付属4病院統括本部長)の外来に、遠方から紹介状をお持ちになられた患者様がお見えになりました。診断は食道癌ではなく下部直腸癌とのことで、諸検査の後に手術を予定致しました。すると、手術の2日前に教授から「向井のあれ、やれよ。」とのお言葉。「私がやるとHALSになりますよ?」と申し上げたところ、「自分も一緒に入るから。」とのことでした。いつもどおりの臍部55mmの縦切開先行による3-port HALSが始まり、約4時間、はじめは教授の御顔がモニター枠に入り少し緊張しましたが、無事終了。教授は「俺より少し切除範囲が小さいけど、いんじゃない。」と一言だけおっしゃられ、部屋を出て行かれました。大開胸・大開腹・Radical neckを自在に駆使する食道外科の巨匠から、この上ないお褒めの言葉を頂戴したのでした(と勝手に解釈させて頂きました、間違っていたらスイマセン…)。
結局のところ、患者さんのために、もっともっとHALSを磨き精進し頑張らなければいけないな、と改めて決意した次第です。





2012年02月12日

HALS研究会事務局代表
東海大学医学部付属八王子病院外科
向井正哉


 
 


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